口唇口蓋裂センターとは

口唇口蓋裂について

口唇口蓋裂は、口唇・顎・口蓋の披裂を特徴とする先天疾患です。つまり、上口唇(うわくちびる)、歯茎(はぐき)、上顎(うわあご)は、本来なら割れていませんが、割れたままの状態で産まれてくる疾患です。日本人の新生児における発生率は約550名に1人です。これは、出生時に体表に発現している形態異常としては最も頻度が高いものの1つと言えます。口唇口蓋裂の治療は、出生直後から成人までかかることが多く、全年代にわたり専門的な知識に基づく、確かな技術に裏打ちされた診療が求められます。診療に際しては、産婦人科、耳鼻咽喉科、形成外科、小児科、小児歯科、矯正歯科、歯科・口腔外科、言語治療室など、医科・歯科問わず、複数の診療科の医師・歯科医師・スタッフが共同で、密に連携を取り合うことで治療計画を策定する必要があります。当院では、口唇口蓋裂の治療のために多分野の専門家が連携する診療体制を整えておりますが、さらに充実した医療サービスを提供するために、2019年4月に当センターが設立されました。

四国で初となる口唇口蓋裂センター

このように、この病気の症状は複雑で口、鼻、耳、歯、顔の骨といった多くの部位に障害を生じる可能性があるため、多くの診療科が連携して治療にあたることが患児の将来にとってとても重要です。そのために、徳島大学病院では平成31年4月に四国で初となる口唇口蓋裂センターを開設し、治療に携わる診療科が継ぎ目なく連携することができるようになりました。すべての診療科で同じ治療目標を掲げているため、一貫した治療を受けることが可能となり、それが患者さんやご家族の安心につながります。また、センターでは定期的に症例検討会や勉強会を行い、治療に役立てています。

診療科連携による継ぎ目のない治療

口唇口蓋裂治療の手引き

生まれる前には産科で検診を行い、この疾患であることがわかれば形成外科による出生前の相談を行います。生まれた後は小児科により新生児スクリーニングを行い、哺乳指導や発育の評価を進めます。それと同時に、矯正歯科では必要に応じて、上あごの裂を埋める装置や鼻の形を手術前に整える装置を作成して装着します。すべての部位の裂を閉じる手術は形成外科が担当しますが、もしも合併した病気があるときは小児科とともに手術後に集中治療室で経過をみることもあります。中耳炎になれば耳鼻咽喉科による治療が必要なことがあります。また、発音に影響がないか耳鼻咽喉科でチェックを行い、必要な場合には言葉の練習を行います。歯並びや虫歯の管理、上あごの成長については、矯正歯科と小児歯科で大人になるまでみていきます。そして、最終的には美容的・整容的な仕上げを矯正歯科と形成外科で行います。口唇口蓋裂センターでは、このような継ぎ目のない治療が可能となっています。当センターでは、口唇口蓋裂の患者及び家族の心のケアを行うとともに、口唇口蓋裂の包括的な診断・治療を実施し、その改善のために全力を尽くします。

本センターでは患者さんのご家族にむけた「口唇口蓋裂治療の手引き」を作成しましたので、ダウンロードしてご覧ください。
また、口唇口蓋裂センターの詳細については、下記ホームページをご覧ください。

口唇口蓋裂センターHP