【ME管理センター】
ME管理センターでは、臨床工学技士が生命維持管理装置(血液浄化、体外循環、呼吸管理などに使用される装置)および先端技術を応用した医療機器の操作・保守・管理を主な業務としています。
元来、臨床工学技士業務は生命に直結することが多々あり、安全性、スタッフ間での信頼、納得が重要とされます。そのため日頃から全員参加によるモーニングカンファレンスやミーティング、勉強会等を積極的に行い、メンバー同士の知識、技術の共有、合意を図っています。高度先進医療、災害対策拠点病院を担う本院では、さらに高度な知識と技術や教育システムの構築が要求され、これらに対応できるよう日々チーム一丸となって努めています。
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組織
現在、ME管理センターは中央診療棟1階に位置し、診療支援部 臨床工学技術部門の臨床工学技士スタッフを6部署(手術室、集学治療病棟、心臓カテーテル室、人工透析室、MEセンター、内視鏡センター)のチーム編成とし、18名(センター長1名、副センター長1名、主任1名、技士15名)で構成されています。
・配置
臨床工学技士が配置されている部署のスタッフ数は、①手術室(3~5名)、②集学治療病棟(2~3名)、③心臓カテーテル室(2~3名)、④人工透析室(2~3名)、⑤MEセンター(1~2名)、⑥内視鏡センター(1~2名)を配置しています。
当ME管理センターの特徴は、臨床工学技士が流動的に病院全体に配置されていることです。具体的には、各部署のマンパワーと業務の内容により、毎日人員の配置が変動し、1日のうちでも時間帯(午前、午後)により、各業務に派遣できうる人員数は変動します。
・MEオンコール待機
平成24年4月より、MEオンコール待機(5部署:手術室,集学治療病棟,心臓カテーテル室,人工透析室,MEセンター)を開始しております。平成27年度における各部署のオンコール件数は、①手術室:59件、②集学治療病棟(ECMO,PCPS含む):130件、③心臓カテーテル室:31件、④透析室:74件、⑤MEセンター:85件でした。
・管理当直業務
平成26年10月より、臨床工学技士の24時間体制(専任の臨床工学技士が、常時、院内に勤務している)として、管理当直を開始しております。平日(夜間)は臨床工学技士1名、土・日・祭日(昼間・夜間)は臨床工学技士2名が行っております。
≪場所≫
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レーザー手術装置の操作 誘発電位の測定介助
ダヴィンチ手術時の介助 ハイブリッド手術室の全景
≪場所≫
◎手術室:中央診療棟4階、新外来棟4階
【集学治療病棟】
集学治療病棟はICU(11床),SCU(9床)、HCU(12床)を備えています。集学治療病棟では、臨床工学技士が常在し業務を行い、夜間の急患にはオンコール体制をとり、24時間対応しています。

救急集中治療部 医療機器管理室 専任のCEが常在して業務を行っています。
当院救急集中治療部では、
1.急性呼吸不全や大手術後の患者への人工呼吸器, 非侵襲的陽圧換気法(NIPPV), High Flow Nasal Cannula(HFNC)等のセッティング。
2.急性腎障害(AKI)、大手術後の持続的腎代替療法(CRRT)や免疫、神経疾患の血液浄化療法の
操作、管理。
3.集中治療患者や熱傷患者への気管支鏡検査等の介助、気管支鏡スコープの本洗浄。
4.低体温、平温療法のセッティング。
5.Dr’s Carに搭載される移動用人工呼吸器、患者監視装置、吸引装置等のセッティング
6.補助循環装置(IABP,ECMO)のセッティング、施行中およびウィーニングの操作、管理。
7.医療機器や周辺機器の保守管理業務
現在は、急性呼吸不全症例に対する体外式膜型人工肺(ECMO)業務も確立させています。
その他にも他職種への勉強会の開催や院内の感染、災害研修にも積極的に参加しています。
≪場所≫
◎集学治療病棟:東病棟4階
【心臓カテーテル室】
心臓カテーテル室では、心臓カテーテル検査・治療業務から、電気的エネルギーの負荷を伴う治療チームでの業務を担っています。また、各種補助循環装置(PCPS,IABP)などの急変時の対応も24時間オンコール体制で行っています。
1.虚血性心疾患、弁膜症、先天性心疾患などに関する業務
①体計測関連業務
心臓カテーテルモニタリングシステムを用い生体情報の監視、報告ならびに計測、記録を行い、測定値より算出される各種情報を理解する。主な生体情報モニターは心電図、心内心電図、経皮的動脈血酸素飽和度、各心腔,血管内圧、心拍出量、弁口面積,血管径計測
②治療、検査関連業務
治療に必要な医療機器の準備および操作、保守管理
※主な医療機器
補助循環装置(PCPS,IABP)、除細動器、体外式ペースメーカー、ロータブレータ装置
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2.不整脈関連業務
①電気的生理学検査(EPS)・高周波カテーテル・アブレーション(RFCA)関連機器の準備と操作および得られる生体情報や装置設定条件等の記録
※主な関連医療機器
心臓カテーテルモニタリングシステム、高周波発生装置、3次元マッピングシステム、
イリゲーションカテーテルシステム
②EPS・RFCA関連機器の操作と設定等
高周波通電、ノイズ対策、出力設定、フィルタ設定、除細動器のスタンバイ
③心臓ペースメーカー、植え込み型除細動、心臓再同期療法(CRT)埋め込み時の立会い

3.その他
①技術情報の収集
医療機器の使用方法ならびに安全対策に関する情報の収集、勉強会やセミナーへの積極的な参加
②情報の共有
他部門との密な連携、意見交換により患者情報、病態、治療を正確に把握する
≪場所≫
◎心臓カテーテル室:中央診療棟2階(放射線部)
【人工透析室】
当院における血液浄化業務は、主に東病棟4階にある「人工透析室」にて行われています。
血液透析(HD)とは、腎臓の機能が低下して慢性腎不全に至った患者さんに対し、血液を介してその機能を代行する治療です。当院では透析導入の患者様と他院からの手術目的での紹介患者様が多く、患者様一人一人に応じた透析治療と質の高い安全管理を提供しています。
LDL吸着療法、血漿交換療法(PE)、血液吸着法(PA)などの特殊血液浄化療法なども行っています。
またシャントケアを積極的に行っており、超音波エコー下PTAなどの治療も行っています。
人工透析室 透析室内(治療開始前)
超音波エコー下PTA LDL吸着(治療開始前)


≪場所≫
◎人工透析室:東病棟4階
【医療機器管理】
MEセンターでは、医療機器の管理業務を行っております。また、夜間・休日の緊急時も24時間オンコール体制ですぐに対応できるようにしています。
主な業務としては、周産母子センター内の新生児集中治療室(NICU,東病棟3階)における人工呼吸器の操作・管理・日常点検(使用前・使用中・使用後点検)、窒素ガス療法における補助、閉鎖式保育器(クベース)の日常点検などを行っています。
各病棟においては人工呼吸器のラウンド業務や除細動器・AEDの管理・定期点検をはじめ、輸液ポンプやシリンジポンプ・ベッドサイドモニターなど約900台もの機器管理には機器管理ファイルを用いて貸出から返却・点検などを中央管理しています。各機器の医療機器メーカーへの修理依頼や医療機器の新規購入のサポートも臨床工学技士が行っています。
2013年10月より、安全管理対策室(現在、安全管理部)ならびに看護部の協力の下、各病棟、外来、中央診療部門にて使用されている「再使用可能な手動式肺人工蘇生器(成人用、小児用、新生児用BVM)」の機種統一化を図り、BVMの中央管理を行っております。臨床工学技士は、物流センターにて洗浄・滅菌されたBVMを組立て、使用前点検を実施し、保管期限記入後、BVMの貸出を行っております。
2016年4月より、循環器内科外来及び心臓血管外科外来で実施されている「PM(ペースメーカ)外来業務」は、手術室業務からMEセンター業務に移管されました(主に毎月第1週、第2週目木曜日)。
MEセンターで管理している医療機器
・人工呼吸器 30台 医療機器貸出室
・輸液ポンプ 300台
・シリンジポンプ 250台
・ベッドサイドモニター 10台
・AED 31台
・除細動器 21台
・閉鎖式保育器 14台
・超音波ネブライザ 30台
・その他ME機器 280台
合計 970台
(平成28年3月現在) PM外来業務

【医療機器研修会】
特定機能病院においては、特に安全使用に際して、技術の習熟が必要と考えられる医療機器に関しての研修を定期的に医療従事者に行うことが義務付けされております。
ME管理センターでは、臨床工学技士が各病棟、外来における医療機器の研修会(または勉強会)や
キャリアアップ推進部門と共同して院内研修にも力を入れています。
医療機器研修会(2015年度実績,合計9件)
- < >< >< >< >< >< >< >化学療法室(外来) 1件(ベッドサイドモニター)
人工呼吸器の使用前点検 NICUでのラウンド業務
閉鎖式保育器の使用前点検 周産母子センター(器材室)

≪場所≫
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遠心型血液成分分離装置
≪場所≫
◎細胞治療センター:西病棟10階
【中央内視鏡洗浄室】
中央内視鏡洗浄室では、呼吸器内科・外科をはじめ泌尿器科外来、産婦人科外来、手術室などで使用された内視鏡スコープの洗浄・消毒を行っています。
業務内容は、MEセンター担当者が使用された内視鏡スコープの洗浄消毒を行う内視鏡洗浄消毒装置4台(OER-2,OER-3,オリンパス)の日常点検,定期点検(アセサイド6%消毒液の交換,消耗部品の定期的交換,給水管路の消毒)を実施しています。
平日(日勤帯)の内視鏡スコープの本洗浄は、内視鏡センター配属の看護助手さんが行っています。時間外の内視鏡スコープの本洗浄に関しては、2015年9月より手術室で使用された内視鏡スコープの本洗浄を手術室担当者がオンコールで対応しています。また2016年4月より、手術室、集学治療病棟を除く各診療科で使用された内視鏡スコープの本洗浄をMEセンター担当者がオンコールで対応しています。
内視鏡洗浄消毒装置(OER-2,OER-3) 使用されている内視鏡スコープ

≪場所≫
◎中央内視鏡洗浄室:中央診療棟2階(内視鏡センター内)
【内視鏡センター】
内視鏡センターにおける消化器内視鏡業務は、主に臨床工学技士4名が消化器内科の内視鏡検査、内視鏡治療の症例件数が多い、平日3日間(月曜日,火曜日,木曜日)をサポートしています(2016年3月現在)。
内視鏡検査である上部消化管内視鏡検査(GIF),小腸内視鏡検査[カプセル内視鏡検査(VCE),ダブルバルン内視鏡(DBE),シングルバルン内視鏡(SBE)],下部消化管内視鏡検査(CF),超音波内視鏡検査(EUS),内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)で使用される内視鏡システム,内視鏡スコープ(上部消化管内視鏡スコープ,下部消化管内視鏡スコープ,超音波ガストロビデオスコープ,十二指腸内視鏡スコープ,ダブルバルーンスコープ),内視鏡用超音波観測装置、カプセル内視鏡,内視鏡用炭酸ガス送気装置等の準備,介助などを行っています。
内視鏡治療である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD),アルゴンプラズマ凝固法(APC),内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的総胆管結石砕石術,内視鏡的逆行性胆道ドレナージ術(ERBD),経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG),内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)などで使用される内視鏡システム,内視鏡スコープ,高周波電気手術装置,アルゴンプラズマ凝固装置,内視鏡洗浄ポンプ,内視鏡用炭酸ガス送気装置,各種処置具等の準備,介助などを行っている。また内視鏡治療に使用される高周波電気手術装置,アルゴンプラズマ凝固装置の設定も行っています。
使用された内視鏡スコープの洗浄消毒を行う内視鏡洗浄消毒装置(OER-2,OER-3,オリンパス)の日常点検,定期点検(アセサイド6%消毒液の交換,消耗部品の定期的交換,給水管路の消毒)を実施しています。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の準備 内視鏡洗浄消毒装置の定期点検
≪場所≫
◎内視鏡センター:中央診療棟2階
【第1版】2013年11月1日
【第2版改訂】2016年5月日