認知症疾患
【MCI・認知症外来の開設について】(2024年4月5日追加;2024年10月1日更新)
当院では2024年3月からアルツハイマー病による軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)および軽度の認知症に対するレカネマブ治療が開始されました。ニーズに対応するため、2024年4月MCI・認知症外来を開設いたしました。受診にあたり、かかりつけ医からのご紹介・FAX予約(「MCI・認知症外来」希望の旨を記載下さい)をお願いいたします。
◉レカネマブは、もの忘れがあるけれども日常生活に大きな支障はきたしていない方が主な治療対象となりえます。
◉患者さんと、患者さんの普段の状態がわかっている方(家族などの介護者)で受診してください。紹介状、画像CD(ある場合)、お薬手帳を持参してください。
◉スクリーニング検査を行い治療法を検討します。検査の一つに頭部MRIがあります。MRIが受けられない方はレカネマブ治療の対象となりません。
◉検査の結果、レカネマブの対象となる可能性がある場合、PETまたは髄液でアミロイド検査を行います。その検査で陽性の場合のみ、レカネマブ治療の対象となります。
◉レカネマブの副作用には点滴反応、ARIA(アリア:脳の浮腫や出血)などがあります。本人と介護者の両者で説明を受けていただきます。
レカネマブは、
★2週間ごとに点滴(約1時間)と経過観察を1.5年の予定で行います。
★開始後も、ARIAの確認のため定期的なMRI検査が必要です。
★はじめの6か月は当院で行います。6か月以降は当院または他の医療機関で継続します。
(2024年10月1日追加)
・当科は、アルツハイマー病の疾患修飾薬の社会実装に伴う効果的な診断・治療方法の確立と普及を目指す研究に参加しています。
・2024年9月ドナネマブが承認され、今後使用可能となる見込みです。
【前頭側頭葉変性症への取り組み】(2024年10月1日追加)
前頭側頭葉変性症/前頭側頭型認知症に関して、全国の脳神経内科施設と精神科施設から構成された前方向的コホート研究体制(FTLD-J)に参加しています。
【遺伝性認知症への取り組み】(2024年10月1日追加)
遺伝性認知症の患者様および発症リスクを持つご家族の方を対象に、診療と心理の両面からのサポート体制を構築し、病態解明と治験による治療開発の促進を行う、全国規模の取り組みに参加しています(https://hed-trc.com)。
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療開発を当科が主体となって行っています。メチルコバラミンは医師主導治験の成果(https://als-mecobalamin.org)をふまえ、2024年9月24日ロゼバラミンとして承認されました。EPI-589の医師主導治験を行いました(https://epic-als.org)。
ジストニア
痙性斜頚、眼瞼痙攣、書痙、音楽家の痙攣などのジストニアに対して、内服治療、ボツリヌス毒素治療に加え、パーキンソン病・ジストニア治療研究センター、脳神経外科と共同して脳深部刺激療法を行っています。専門外来としてジストニア・運動障害外来を開設しています。
脳卒中
【脳卒中センター】
急性期脳卒中患者さんを受け入れ、治療を行います。rt-PA療法は、発症4.5時間以内などであれば投与が可能で、脳組織のダメージを最小限に食い止めうる治療です。また、近年では血管内治療の目覚ましい進歩により、rt-PA療法の効果が乏しい場合や使用できない場合でも、治療が可能になってきています。脳卒中診療には、医師、看護師、放射線技師、検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、ソーシャルワーカーなどのチーム連携や24時間365日治療のできるシステムが不可欠ですが、当センターではそれが可能です。急な手足の麻痺や言葉の話しにくさなどが出現した場合は急いで救急隊にご連絡ください。
【脳卒中後の痙縮】
脳卒中後の痙縮に対して、ボツリヌス毒素治療を行っています。
筋電図・神経伝導検査・神経筋超音波検査
当科の発足当時より、筋電図・神経伝導検査に力を入れてまいりました。近年は必要に応じて神経筋超音波検査も行っています。毎週20件程度行っており、手足のしびれから筋萎縮性側索硬化症などの神経難病まで、多くの症状・疾患が対象となります。
なお、これらの検査は臨床所見を踏まえて行うため、検査を主な目的として紹介受診される場合でも、原則的にはまず初診外来で診察を受けてください。